フリーハグ初体験記

 フリーハグをして。社会は何も変わらなかった。でも、確実に自分の中の何かは変わった。

 

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18:00前

 こそこそやるのが嫌だったのであえてツイッターの本アカでも告知してみたけどほとんど反応はなかった。リアルな友達でハグしに来た人はひとりもいなかった。いろいろ理由は考えられるから、冷静にほーんという気持ち。

 お祭りに行かない・行けないから反応しないでおこうとか、そもそもミュートしてたとか、たくさんのツイートに埋もれて見てなかったとか、その程度かもしれない。ちょっとネガティブにとらえるなら、私のこの行動を批判的に見た人もいたかもしれない。

 でも、こんなの気にしたらキリないし、思うほどみんな私に興味ないから(いい意味で)、しっかり信念をもってやろうって改めて決意した。

 

18:00

 告知していた開始時間。とりあえず拠点を探すけど目当てのところが微妙だったので他に当たる。ついでにバイト先(私の人生においてけっこう大事な場所)に寄って知ってる人と話して心を落ち着かせる。うーーん緊張する。でも、やらねば。

 

18:30過ぎ

 最初の拠点、四条大橋に到着。人通りも多く、かつハグしたりおしゃべりしても通行の邪魔にならないスペースを確保でき、風が通るのですずしい。ここがいい。さあ、「FREEHUGS」の札をあげるぞ~!あげる...ぞ......無理......

 なにこれ、恥ずかしい、あげた瞬間に一斉にみられるかもしれない。あげる瞬間を見られるの恥ずかしい。人が通ってないときに先に札持って立ってたかった。無理無理無理無理、でもこのスケッチブックをあげないまま持ち帰るのはもっと無理!でもまだあげれない...よし、じゃあ19:00まで、19:00までに絶対あげる。

 こんなふうにめちゃめちゃ葛藤した。この感覚は一生忘れちゃいけないなって思った。やめるって選択肢もよぎったけど、引き返す気はなかった。

 まず人通りに背を向け、川のほうを向いて札を上げて、そして、ついに、振り向いた。我ながらよくやった。

 

19:00

 予定時刻の一時間遅れでFREEHUGS、開始。なんと、スケッチブックを見せた瞬間、ほんとにすぐに外国人の女性が来てくれた。あーー葛藤に勝ってよかった!

 それからもそう途切れることなく人が来てくれた。浴衣を着てたからか、写真を撮ろうっていってくれる外国人。友達同士で茶化しながら来てくれる男子。家族連れで親に連れられて恥ずかしがりながらハグしてくれるちびっこ。友達と来てる優しそうな女の子。一人でフラフラしてるおっさん。(いろんなおもろい人いたのでまた別で記事書きます)

 目的のひとつである会話もちょくちょくできた。外国人との会話は拙い英語で頑張った。

 

19:40くらい

 男性二人がきてくれた。ありがとうございます、と言いながらハグをしてお決まりの質問をした。「なにしてはるんですか?」

 「ナンパ」男はそう答えた。ナンパ師と話す機会ってなかなかないし、これも何かの縁、フリーハグの力だ...と思って楽しく話していると、2人もFREEHUGSに参加することになった。

 ほんとに人生って何があるかわからないよね笑

 

20:00すぎ

 場所を移動してみることに。鴨川沿いをちょっと歩いて、最終的にはマルイ前でやった。四条河原町の交差点だから、赤信号だと人が立ち止まった状態でこっちを見るのでより見られている感じが強かった。人との距離も近くて少し怖かった。1人だったらきつかったけど、2人といたから耐えられた。

 

21:00

 予定終了時刻。キリが悪かったので、もう一人として終了。ジャスト80人。これが多いか少ないかはわからないし、それは重要ではない。とりあえず、やりきったー

 さっきまで集団からすると異質であった私たちが、スケッチブックを閉じた瞬間、人ごみに溶け込んだ。そんな感覚があった。

 

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 社会は何も変わらない。これまでの友達は変わらず接している。街で「あの時FREEHUGSしてた?」と声をかけられることもない。

 でも、私の中で確実に何か変わった。一歩踏み出したからこそ、実際にやってみたからこそ、見える世界がそこにはあったんだ。

 

 

<<Special Thanks>>

私とハグをしてくれた人、せずとも興味を持ってくれた人、一緒に参加して楽しんでくれたふっちゃんけいちゃん、直前そばにいて励ましてくれたはるん、予定を空けてくれたみゅうみゅう、差し入れくれたお兄さん、ツイッターに反応してくれた人、批判的に思っても黙っておいてくれた人、声や態度に出さずとも見守ってくれた人……and so on!!みなさん、本当にありがとうございました!!